高学歴ノーリターン

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ISBN: 433493370X

本当に高学歴で一流企業に勤めている人は勝ち組なのか?ニートやフリーターに比べればマシだ。という意味で勝ち組と言うことにされているんじゃないのか?それでは江戸時代と同じじゃないか?とか、そんなことを元キャリア官僚が語ってしまう、そういう本。

僕自身といえば、それなりに有名な大学の大学院を出ているような高学歴で、それなりに有名な企業に勤めているわけですが、「勝ち組」と言われると、なんとなく違うなぁ。と、これまでも思っていたわけです。どう考えても、僕は「労働者」でしかないし、そのなかで少し稼いでいるだけでしかない。それも、体調悪くするんじゃないか?というくらいの過酷な労働環境だったりするわけで……。

「セレブ」なんて言われている人がたくさんいるけれど、彼らこそが勝ち組であって、僕はきっと「労働者」という階級に生きるただの負け組なんじゃないか?と、思ったりもするわけですよ。こんな風に書くと、いや、おまえは、稼いでるじゃないか?とか、思う人もいるかもしれません。でもね、今の給料を3倍しても確定申告しなくていいわけですよ。4倍したら、確定申告しないとダメかも。とか、その程度ですよ。

まぁ、そんな、どうでもいい話はさておき、そんな僕の感じている「勝ち組」に対する違和感が解消されるのか?と、期待を込めて読み進めるわけです。作者は、このままほっておくとどういう社会になってしまうのかを示した上で、新しい学歴社会を作ろう。と呼びかけます。「希望格差社会」にあったようにこれから先大学を出ていてもフリーターやニートになるかもしれないだけでなく、そもそも大学を出たってまったく稼げない低賃金でこき使われるだけいう時代になり、みんなが上を目指すことをあきらめてしまう。そんな時代だからこそ、学歴がある人間はもっと優遇されてもいいんじゃないか?ただ、現役で東大行ったやつだけがえらいんじゃなくて、社会人になってから必死で勉強して東大を出たやつもえらい。そういう、社会を作らないか?

と、読み進むにつれ、結局、やっぱり違和感を感じてしまう。

いや、もちろん、上を目指すための努力をしなくなってしまうことは、非常に良くないことだと思う。でも、それを「学歴」だけで計っていいの?そうなのかなぁ。実際、俺の同僚なんかは、たしかに有名な大学出ている人も多いけれど、そうじゃない人もたくさんいて、実際、仕事のやり方とか、アイディアとかそういういろんなところで、やっぱり、かなわないなぁ。と思わせる人たちだったりして、学歴なんて、本当に意味がない。そう思うんだけどなぁ……