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柳沢発言

どうでもいいんだけど、いろいろ気になったので、柳沢発言のなにが問題だとボクは考えているのか、書いておく

まずは、彼の発言要旨を、スポーツ報知のWEB版から引用

なかなか今の女性は一生の間にたくさん子どもを産んでくれない。人口統計学では、女性は15~50歳が出産する年齢で、その数を勘定すると大体分かる。ほかからは生まれようがない。産む機械と言ってはなんだが、装置の数が決まったとなると、機械と言っては申し訳ないが、機械と言ってごめんなさいね、あとは産む役目の人が1人頭で頑張ってもらうしかない。(女性)1人当たりどのぐらい産んでくれるかという合計特殊出生率が今、日本では1.26。2055年まで推計したら、くしくも同じ1.26だった。それを上げなければいけない。

私自身、現場にいたわけではないので、この要旨が正しいかどうかについては、よくわからないのだが、議論の都合上この要旨は「正しい」要旨であるということにしておく。

柳沢氏の言いたいことというのは、

「人口統計学上15歳から49歳の女性が合計特殊出生率の計算の対象であり、その対象の人がどんどん減っていくなか、少子化対策は急がなければならない」

ということであろう。たぶん。

まず、合計特殊出生率(Wikipedia)というのは、「人口統計上の指標で、一人の女性が一生に生む子どもの数」のことであり、2.08よりも大きくないと、将来的な人口減を示すとされています。

そこで、国として、「合計特殊出生率をX以上にする」というのを目標に掲げるのであれば、「一人の女性が一生にX人以上子供を産む」ことを目標にすることであり、「合計特殊出生率」を数値目標とすると、「女性国民にX人以上の子供を産んでください」と頼むことにほかならない。つまり、目標値として合計特殊出生率という数値を持ち出すことは、そもそも統計上の数値であるのだから、女性一人を個性ないキカイとして扱うことなのだと思う。

ただ、国の政策としては、人口が減ると言うことは、「国力」が落ちることにつながるので、産業の振興と人口増というのは、「国力」を上げるための基本的な政策となるのではないのだろうか?人口をマクロな数字だけ見て判断するならば、二人以上の出産の義務化と、言ってしまえば楽だが、それこそ、「産むキカイ」と見ていることであるので、そういう直接的なことは言えない。だからこそ、「少子化対策」というのは、「将来の人口減」と直接リンクさせるのではなく、結果として起きる「高齢化」とリンクさせ、将来の社会システムが維持できなくなる、たとえば年金制度が維持できなくなるから、といったところから議論をはじめるのだ。

4年前に制定された「少子化社会対策基本法」の前文をご紹介しよう

我が国における急速な少子化の進展は、平均寿命の伸長による高齢者の増加とあいまって、我が国の人口構造にひずみを生じさせ、二十一世紀の国民生活に、深刻かつ多大な影響をもたらす。我らは、紛れもなく、有史以来の未曾有の事態に直面している。  しかしながら、我らはともすれば高齢社会に対する対応にのみ目を奪われ、少子化という、社会の根幹を揺るがしかねない事態に対する国民の意識や社会の対応は、著しく遅れている。少子化は、社会における様々なシステムや人々の価値観と深くかかわっており、この事態を克服するためには、長期的な展望に立った不断の努力の積重ねが不可欠で、極めて長い時間を要する。急速な少子化という現実を前にして、我らに残された時間は、極めて少ない。  もとより、結婚や出産は個人の決定に基づくものではあるが、こうした事態に直面して、家庭や子育てに夢を持ち、かつ、次代の社会を担う子どもを安心して生み、育てることができる環境を整備し、子どもがひとしく心身ともに健やかに育ち、子どもを生み、育てる者が真に誇りと喜びを感じることのできる社会を実現し、少子化の進展に歯止めをかけることが、今、我らに、強く求められている。生命を尊び、豊かで安心して暮らすことのできる社会の実現に向け、新たな一歩を踏み出すことは、我らに課せられている喫緊の課題である。  ここに、少子化社会において講ぜられる施策の基本理念を明らかにし、少子化に的確に対処するための施策を総合的に推進するため、この法律を制定する。

見事に、少子化=人口減ではないようにみえる。しかも、「結婚や出産は個人の決定に基づくもの」であり、そういったことをふまえた上で、「女性に子供を産んでいただくにはどうしたらいいか」というのを議論しましょう。というのが、この法律だったはずである。

結局、正直なところ、

「人口統計学の話をしていて、イメージをわかりやすくするために子供を産み出す装置という言葉を使った」

という、柳沢氏は、「人口統計学」という授業中の話ということであれば、あら、女性をキカイにたとえるなんて、困った先生ね。程度で済む話かもしれない。ただ、「厚労相」として、その発言はどうなのか?と、考えざるを得ない。

あー、「男は外で働き、女は子を育てる」という、古い考え方のひとなのね。程度ですましてしまうには、「厚労相」という立場は重すぎるのである

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2007年02月06日 07:33に投稿されたエントリーのページです。

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