日本の経済が破綻してしまった近未来、北朝鮮のコマンド9人が開幕戦の福岡ドームを武力占拠して、「北朝鮮の反乱軍」を名乗る。さらに、400人の「反乱軍」が福岡に到着し……。オトナたちがどうしていいかわからないまま、時間だけが過ぎていく中、ある種のはみ出しモノたちによって、事件は一気に解決へと向かう。というような話です。
〈財政破綻し、国際的孤立を深める近未来の日本に起こった奇蹟〉なんて帯に書いてあるんだけれど、ほんとに「ありえねー」って感じに解決しちゃいますよ。それがまた痛快だったりするわけです。
ところで、「希望の国のエクソダス」でもそうだったけれど、「オトナ」たちは、全く使い物にならなく、やっぱり、活躍するのは、「社会」からはみ出てしまった人たち、しかも、「こども」というか「少年」だったりするわけです。
「社会」が腐っているのだから、その「社会」の外にヒーローを求めるのかも知れないけれど、なんとなく、さみしいような感じがする。エクソダスを読んだときは、こんな腐った世の中じゃダメだ。と、どちらかというと、少年たちに感情移入して読んでいたわけですが、あまりの「オトナ」のふがいなさにいらいらしてしまう。
僕自身が、その「社会」の中にいる「オトナ」になってしまったからなんだろうか?それとも、「亡国のイージス」の先任伍長のように自分の仕事をやり抜くという姿勢というか、そういう「オトナ」のヒーローを見たからだろうか?