半島を出よ

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半島を出よ (上)
村上 龍
幻冬舎 / ¥ 1,890 /


半島を出よ (下)
村上 龍
幻冬舎 / ¥ 1,995 /

日本の経済が破綻してしまった近未来、北朝鮮のコマンド9人が開幕戦の福岡ドームを武力占拠して、「北朝鮮の反乱軍」を名乗る。さらに、400人の「反乱軍」が福岡に到着し……。オトナたちがどうしていいかわからないまま、時間だけが過ぎていく中、ある種のはみ出しモノたちによって、事件は一気に解決へと向かう。というような話です。

〈財政破綻し、国際的孤立を深める近未来の日本に起こった奇蹟〉なんて帯に書いてあるんだけれど、ほんとに「ありえねー」って感じに解決しちゃいますよ。それがまた痛快だったりするわけです。

ところで、「希望の国のエクソダス」でもそうだったけれど、「オトナ」たちは、全く使い物にならなく、やっぱり、活躍するのは、「社会」からはみ出てしまった人たち、しかも、「こども」というか「少年」だったりするわけです。

「社会」が腐っているのだから、その「社会」の外にヒーローを求めるのかも知れないけれど、なんとなく、さみしいような感じがする。エクソダスを読んだときは、こんな腐った世の中じゃダメだ。と、どちらかというと、少年たちに感情移入して読んでいたわけですが、あまりの「オトナ」のふがいなさにいらいらしてしまう。

僕自身が、その「社会」の中にいる「オトナ」になってしまったからなんだろうか?それとも、「亡国のイージス」の先任伍長のように自分の仕事をやり抜くという姿勢というか、そういう「オトナ」のヒーローを見たからだろうか?

希望の国のエクソダス (文春文庫)
村上 龍
文藝春秋 / ¥ 700 /


亡国のイージス 上 (講談社文庫)
福井 晴敏
講談社 / ¥ 730 /


亡国のイージス 下(講談社文庫)
福井 晴敏
講談社 / ¥ 730 /